自分好みのお笑いをどんどん見つけていく
ーいつ頃から、どのようなきっかけでお笑いにハマり始めましたか?
常谷:「これ!」という明確なきっかけはないのですが、私は、小さな頃からとにかくテレビが好きで、ほぼ毎日テレビを見ているような子供だったので、自然とバラエティ番組に触れていたことが大きいと思います。小学生の頃から、『はねるのトびら』『あらびき団』『爆笑レッドシアター』などのお笑い番組を見て過ごしていました。中学生になると、自分で劇場やお笑いライブにも行けるようになり、リアルでお笑いを見てからはどっぷりハマっていきましたね。大学に進学してからは、「お笑いサークル」に所属し、自分でも漫才やコントなどのネタを考えて人前で披露したり、お笑いに詳しい友人がたくさんできたりと、よりコアな部分までのいきました。
やはり、テレビの番組上で編集された面白さとは一味違うので、このマガジンを読んでくださっている方々にもぜひ劇場に足を運んでみてほしいです。初心者の方へのオススメとしては、『ルミネtheよしもと』のような、有名な芸人さんが多く出演されているライブを観ながら、“あまり知られていないけど自分が好きなお笑い”をされている芸人さんを見つけていくことです。自分好みのお笑いをどんどん探していってほしいですね。
ー常谷さんのイチオシ芸人を教えてください!
常谷:『三四郎』と『フランツ』ですね。『三四郎』は昔から大ファンなのですが、ラジオが非常に面白いんです。一般的には小宮さんが目立っている印象だと思いますが、ラジオでは相方の相田さんが「小学生の頃、ご飯の上にキャビアをかけて食べていた」「出待ちのファンになぜかオラつく」などのぶっ飛んだ話が聞けるので毎週楽しみにしています。また、相田さんに対しての小宮さんのツッコミも味があって、同級生らしい仲の良さも伝わってくるので、ふたりの掛け合いが最高に面白くて、愛おしさを感じています(笑)
今最も注目している芸人は、『フランツです。好きになったきっかけは、劇場でネタを見た際に、“とにかく面白かった”というシンプルな理由です。また、『三四郎』も『フランツ』もマセキ芸能社に所属されていますが、事務所ライブに行くと、同じ事務所の先輩後輩同士の面白い掛け合いも見られるので、好きな芸人がさらに広がっていきます!
自分のネタ・企画を通して、世の中に影響を与えていきたい
ー大学のお笑いサークルでは、どのような活動をされていましたか?
私が所属していたお笑いサークルでは、月に1度「教室ライブ」を開催していました。学内の友人たちやふらっと見に来てくれた人も含めて、皆さんの前でネタを披露していましたね。もちろん、人前に出てネタを披露する芸人的なポジションのメンバーの他に、イベントの運営など、裏方で支えてくれるメンバーも多く所属していたので、非常に活気のあるサークルだったと思います。
また、に1回、下北沢や新宿のライブ会場を借りて、大きなライブイベントも企画していました。サークルの仲間同士でネタのダメ出しをしたり、意見交換をしたりと、それぞれのネタを磨きながら全国のお笑い大会に参加したこともあります。また、当時はラーメン屋でアルバイトをしていたので、「ラーメン屋」のネタをする際には、実際に使用していたエプロンや長靴などの小道具を持ち込んで、世界観を作り込んでいましたね(笑)
ーお笑いサークルでの活動を通して、自身のキャリアや就職活動に影響はありましたか?
小さな頃からテレビっ子だったこともあり、マスコミに携わる仕事がしたいと考えていました。PR会社に入社しましたが、ネタを作っていた当時からの思いでもある、「自分の企画を通して世の中に影響を与えていきたい」という思いは、PRプランナーとして企画を作る際にも主軸に置いています。お笑いサークルの時も、相手の反応を見ながら何度もネタを書き換えて磨いていくことを繰り返していたので、目の前でお客さんが笑ってくれることと、自分の企画を社会全体にアウトプットしていく感覚は、非常に近いものがあります。
ひとつのゴールに向かう道筋は決して単一ではない
ー実際にPRプランナーとして活躍するなかで、お笑いと通底するものは何かありますか?
クライアントへご提案する企画書のなかでも、緩急をつけることは意識しています。ずっと真面目な話ばかりで退屈かもしれないと感じたら、思わずクスッとなるような画像を取り入れてみたり、話題もキーワードを盛り込んでみたりと、相手の反応を想像しながら記憶に残る提案になるよう工夫しています。「もっとこの人の話を聞きたい!」と魅力的に感じてもらいたいという軸は、お笑いサークルでの経験や自分の個性が活きているのかなと思っています。
また、お笑いには、相手を笑わせるという大きな目的があると思いますが、PRにもストーリーを届けたい人たちの感情を動かして、行動変容を促すという大きな目的があるので、感情のスイッチを入れるという点は非常に通底していると感じます。たとえば、お笑いを見ていても、どうしても途中で飽きてしまうネタもあれば、もありますよね。「笑わせる」という目的は同じでも、コンビや芸人によって多様な色が出ますし、人を笑わせる手法はさまざまです。同様に、世の中の感情を動かすPRにも、数多の手法があります。人々を感動させるのか、商品が生まれた背景を鮮明に伝えるのか、企業の社長やカリスマ経営者が表に出ていくのかなど、一つのゴールに向かう道筋が決して単一ではなく、決まった正攻法がないという点も大きな共通点だと思っています。
お笑いもPRも、大きなパワーを持っている
ーさいごに、常谷さんにとって「お笑い×PR」とは?
常谷:人生を明るくしてくれる太陽のような存在です。私にとってのPRは、見ず知らずの人々の心を動かすことのできる大きな“力”です。お笑いもPRプランナーの仕事も、どこが最も共感されるポイントなのか、どこに一番の盛り上がりを持ってくるのかなど、常に相手の感情のスイッチを探りながら向き合うことで、人々を笑顔にするスイッチを作ることのできる大きなパワーを持った存在です。