PRの価値がアップデートされた先にマテリアルグループがどうあるべきか
―今回の策定に背景と代表としての想いを教えてください。
青﨑:マテリアルが5年前に「MAKE NEW PR」を掲げてから、PRは少しずつ市民権を得ながら、マテリアルも会社として大きく成長してきました。それは、社会に必要とされていることの裏返しとしてPRの価値が証明されていることでもあります。しかし、“PRの価値をアップデートする”という思いが実現されたその先に、私たちがどうあるべきなのかはまだ言語化されていませんでした。そこで、もう一度立ち止まって導いた結果が、昨年新たに策定した「Switch to Red.」です。
マテリアルグループは、マテリアルデジタル(旧Flipdesk)やルームズ、PRAS、キャンドルウィックのグループジョインを経て、「クライアント」と「クライアントとステークホルダー」の関係構築を支援するリレーションビルディングを共通の提供価値とするグループへ成長しました。このリレーションビルディングという確固たる武器を持っているからこそ、身の回り・家族・同僚たちとともに情熱的な世界を描くことができる。多くのブランドやサービス、そしてその根底にあるクラフトマンシップなど、真に価値ある個性に情熱を灯すことで、この国の体温を1度でも上げていきたいと思っています。
2年におよぶ策定プロジェクトとそのポイント 単純なクリエイティブワークではなく、一人ひとりの思いと可能性を汲み取りながら具現化
―2年間におよぶこのプロジェクトのポイントはありますか?
関:今回のプロジェクトは主に、コーポレートアイデンティティ(以下:CI)とビジョンミッションバリュー(以下:VMV)の2軸があります。CIやVMVを表面的な部分だけで定義しようとすると、自分たちが信じたい未来や会社としてのあり方を言語化して体系化する以前に、単なる“文章の整理”になってしまうことも多い。トップダウンで作るのではなく、マテリアルグループのみんなが心から信じられるものにするためにあえて面倒くさいプロセスを踏むことで、グループらしいアイデンティティを作り上げました。
表現、マテリアルの社名がありました。マテリアルを単純に訳すと「素材」ですが、素材をブレイクダウンすると、そこには「という意味も含まれてきます。さらに言えば、その人が持つ「個性」も素材と捉えることができる。だからこそ、「マテリアル=一人ひとりの個性」と表現できるのではないかと考えました。
また、僕自身がさまざまなプロジェクトに関わりながら、平成の終わりから令和にかけて、「右に倣え」ではなく「それぞれ違って良い(同調圧力に屈しない)」という価値観を普及していく取り組みを行ってきまし「個性だから」の意味をはき違えることは、時に“自分の可能性”に蓋をしたり、逃げたりするための「言い訳」になりうるケースもあると常々感じていました。
また、改めてマテリアルのこれまでの成長を振り返ると、その根底にあるのは、実は特別なスキルセットでも華やかな経験でもなかったなと思います。「一人ひとりの個性に情熱が灯った瞬間」に、個人プロジェクト、そして会社という単位において爆発的な成長を遂げていると感じます。個々によって、強みや特徴、そして価値観が違うなかで、それぞれの情熱が灯った時、個性が花開く瞬間を迎える。
単純に、「多様性を認めよう」ではなく、「多様な個性に合わせた情熱の灯り方を見出そう」という考えをより大切にしたいと思い、一色の赤でなく、多様な暖色をカラーパレットにした「」が生まれました。また、このがすべ重なると、マテリアルグループのブランドカラーである〈the Materials Red〉になる仕掛けとなっています。
また、メンバーが根底に持っている「上向きのスタンス」は、マテリアルグループと個人が今後も進化を続けるうえで決して欠かすことのできないものです。その上向きのスタンスを「45°+」と名付け、世界でも類を見ない「45°の斜めロゴ」が生まれました。これらは、マテリアルグループとして挑戦を続けていくという宣言であり、あらゆる「個性」を引き出し、その可能性を最大化させる、壮大なストーリーの幕開けを意味するものです。
策定プロセスから見えた経営陣たちの「Be a Hero.」
―実際のワークショップのなかで感じたことはありましたか?
青﨑:短い期間でマテリアルグループの事業会社が増えているタイミングのなかで、自分たちが一体何者なのかが高解像度で整理され、頭の中がクリアになっていくプロセスがとても新鮮でした。こうしたプロセスを経て、漠然としていた私たちの提供価値がグループとしての共通言語に変わっていったと思っています。個々が成長するためではなく、それぞれのタイヤがひとつの車体として出発することができたのではないかと感じています。
また、策定プロセスの過程でも、各社経営陣は常に「Be a Hero.(誰かの英雄であれ)」という、グループ各社が手を取り合って成長していくためにどうあるべきかを考えながら話し合うことができました組織・ブランドを大きくしたいという成長意欲が根底にあるので、利己的な人はひとりもいません。常に主語は「We」の状態で話し合いができましたし個社の社長である前にマテリアルグループの経営陣であること、それが主体の人たちだと改めて感じる時間でもありました。
自分という個性に情熱が灯っているのか?個性が持つポテンシャルを最大化させる。
―新しいVMVとスタンスを通して、グループ従業員に期待している部分はありますか?
青﨑:新しいVMVを定着させていくには、みんなが当事者意識を持ってみんなで作っていくことが必要不可欠です。経営陣が願うだけでは決して叶わない。だからこそ、グループのみんなにこのVMVと向き合ってほしいなと思っています。
関:冒頭にも通じますが、法人は、組織人が集まって成り立つもの。その組織人に目を向けると、そこには「個人」と「個性」が存在します。今回設定したVMVは、マテリアルグループという法人格の枠組みのみならず、個人の人生やキャリアそのものの可能性を切り拓くうえで、羅針盤になりうるものだと思っています。自分自身という「個性」に情熱を灯し、可能性を信じ続けられるようにそれぞれのメンバーがチャレンジし続けてもらいたい。また、会社やマネジメントという観点では、多様な情熱によって個性が花開くように、ユニークな環境を整えたり、サポートすることを常に大切にしたいと考えています。
―読者の皆さまに向けてメッセージをお願いいたします!
青﨑:可能性を最大化させたいと思っているブランドや人がマテリアルグループに集まることで、一緒にワクワクする世界を生み出し続けていきたいと思っています。大げさかもしれませんが、関と一緒に、「自社のサービスやブランドをなんとかしたい」と思ってる方々のお話を聞けば、国内でもっともその可能性を最大化できると思っています(笑)。こうした機会を積み重ねていけば、この国はもっと面白くなるし、自分たちの事業・サービスにこれまで以上に希望や誇りが持てるはず。プラスのスパイラルを創造し続けていきたいですね。
関:策定プロセスを通じて、企業・事業・ブランドは、「人」が作り上げていて、そこには必ず「個性」があるということを再認識しました。そうした視点を持ったうえで、マテリアルグループが携わるプロジェクトを覗いてみると、ブランド自体の戦略や課題はもちろん、同等に「人」の課題が見えてくるようになりました。ブランドを形作るのは「人」です。だからこそ、手触り感を持って育てていかなくてはいけないし、ビジネスやその成果そのものは生き物だからこそ、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあります。それらをどう捉えて“望ましい解”まで導けるかどうかは「人」次第だと思っています。社内外問わず、プロジェクトを遂行する際には、ともに上向きのスタンスを持ってクリエーションできているのか、という部分を非常に大切にしています。
マテリアルグループはもちろん、さまざまなプロジェクトでの関わりを通じて、メンバーとともに仕事をするすべの方々の「個性」に情熱が灯り、自身の可能性が広がるようなスパイラルが回り続けることを願っています。