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2022.January | 事例の裏側

自然に還るプラスチックを取り扱うBtoB企業が「toC向けメディア発表会」を行った理由とは?|担当者インタビュー

マテリアルマガジンをご覧の皆様、こんにちは。マテリアルグループ広報担当の時田です。

今回のマテリアルマガジンでは、ハイケム株式会社の広報担当である黒岩英理子さんをお招きして、マテリアル・BP局 菅松柚香と対談を実施。多くの企業がSDGs/ESGなどを提唱する中、同社が注力する「生分解性プラスチック」への取り組みとその背景、そして同社として今回が初の試みとなった“toCメディアに向けての発表会”のポイントについて語っていただきました。

BtoB企業の中でも、PR活動に踏み出せず模索されている企業が多い現状。良い素材/プロダクトを生活者に知ってもらう意味とは?PR視点でのメッセージを盛り込んだ対談となっております。

プロフィール

ハイケム株式会社 広報室 黒岩英理子

toC企業で広報・IRに長年従事した後、2013年に化学品専門商社のハイケム㈱に初の広報担当として入社。子会社の健康食品事業のPRや社内報の立ち上げなどに携わる。二度の育休を経て本社の広報担当に復帰。現在は社外広報、社内広報、オウンドメディアの運用などに携わる。二児のママ。

 

株式会社マテリアル ブランドプロデュース局 菅松柚香

2020年マテリアル新卒入社。PRパートナーとしてアプリ、消費財など多様な得意先を担当。ブランド横断コミュニケーションや交通広告まで幅広く従事。SDGs・サステナブル案件の引き合いが多く、企業やブランドの物語を届けるべく日々精進中。

 

■「HIGHLACT™ 」発表会について

次世代プラスチック素材「HIGHLACT™ 」および「⽣分解性プラスチック」の認知獲得を目的とした発表会。「メディアバリューのあるタレント」と「特徴を丁寧に伝えられる」の2軸でキャスティングを設計。さらに、発表会の演出では、タレントが体験できる画づくりや展示スペースを用意することで、一見伝わりにくい特徴を視覚的・体験的に訴求。

WORKSはこちらから:https://materialpr.jp/works/view/35

1.既存のプラスチックに置き代わる、“自然に還るプラスチック”とは

プラスチックの良さに頼りながらも環境へ配慮した素材に置き換えていく

ー「生分解性プラスチック」の特徴について、簡単に教えてください。

黒岩:生分解性プラスチックとは、使用中は通常のプラスチックと同様に使うことができるほか、使用後は自然界の微生物によって水とCO2に分解され、自然に還るプラスチックです。

 いくつかの特徴の中で最も重要なのは、「分解」されることです。現在のプラスチックは世の中から悪者とされていますが、それは、一度捨ててしまうとそのままの形で何百年も残ってしまうからです。それの残骸が積もり積もって、海洋プラスチックがいつか魚の量を超えてしまうと言われています。ただ、プラスチックがなければ私たちの日常生活は困ることがたくさんあります。生活に欠かせないものだと思っています。だからこそ、プラスチックの良さに頼りながらも、環境へ配慮した素材に置き換えていくことが重要です。

 

右から原料となるとうもろこし・PLA樹脂

黒岩:また、生分解性プラスチックの中でも「ポリ乳酸」と呼ばれる素材は、バイオマスプラスチックとも言われています。原料にトウモロコシなど自然由来にものを使用しているので、植物の生育過程でCO2を吸収しており、焼却しても大気中のCO2は差し引きゼロになります。これらが大きな特徴かと思います。

 

「生分解性プラスチック」に勝機を見出した

ー「生分解性プラスチック」の御社の取り組みについて、簡単に教えてください。

黒岩:弊社の中心事業は化学の専門商社です。その中でも、日本と中国に起点をおいた化学専門商社で、商社として、「生分解性プラスチック」に取り組んだ背景も、中国に起点をおいていることが大きいです。中でも、「生分解性プラスチック」は中国での製造量が著しく増えています。中国では2つの大河に生活ゴミが溜まっていることが大きな問題となり、それが海洋プラスチック問題にも繋がっています。環境問題への対応として、中国政府がシングルユースプラスチックの使用に関する規制を強化したことで、「生分解性プラスチック」の製造プラントが急激に増加し、中国では建設構想中も合わせると約800万トンにものぼると言われています。弊社社長が、ここ(「生分解性プラスチック」)に勝機があると判断し、日本での市場開拓を始めたのが約3年前でした。

 

2.BtoB企業のハイケムとして、初の試みとなった“toCメディア”に向けての発表会

「まずは生活者の意識を変えることから」と始めた発表会

<「HIGHLACT™について>

HIGHLACT™(ハイラクト™)は、CHEMTEXという概念により生まれた次世代PLA素材。PLAは通常のプラスチックと比べると強度が低く、耐熱性も低いという欠点をHIGHLACT™(ハイラクト)は化学のチカラで解決し、素材自身のパワーアップを実現。さらに、日本の伝統的な生地メーカーとのパートナーシップによりサステナブルかつ上質な生地を実現。樹脂原料から生地までの一貫生産により品質を向上させ、魅力的な生地を開発し、既存のプラ繊維をPLAに置き換える未来を担う新素材。

 

ー今回「HIGHLACT™ 」の発表会を行うことになった背景は何でしょうか?

黒岩:これまで、弊社はBtoB企業として、お客様のほとんどが化学メーカーでした。世間に広く知られるというよりも、直接メーカーを訪問しながら地道に活動するべきだと考えていました。また、専門商社という立場上、自分たちの会社が化学業界の中で目立ちすぎてもという思いもあり、広報活動にはそこまで注力してこなかったんです。主に、専門誌や経済誌のようなメディアと関係値を築いていました。

ただ、今回「生分解性プラスチック」を用いて繊維開発をすることになり、お客様がこれまでの化学メーカーだけではなく、アパレルメーカーや消費者により近い企業とのお取引が生まれました。新しい素材で環境に良いというメリットはありつつも、「生分解性プラスチック」というのは、未だ価格が高いことと必要性を天秤にかけると、実際の採用までは至らないことが多かった。であれば、「まずは生活者の意識を変えることで、素材の採用に繋がっていくのでは?」という声が経営層から挙がり、toCメディアに向けた活動として発表会の実施することになりました。

 HIGHLACT™」でできた試作のアパレル

 

 ーこれまでtoBメディアに向けたPR活動がメインだった中で、マテリアルと取り組むことになった経緯を教えてください。

黒岩:これまでPR会社とのやり取りもなかったため、PR会社を探すために『広報会議』を見た際、「テレビPRに強い」という文言と、「月額変動型リテナーPR」の内容を見てマテリアルさんにお問い合わせさせていただきました。やはり、テレビに強いというのが魅力的だと感じましたね。また、成果報酬があるというのはなんとなく知っていましたが、3社ほど検討した中で、活動費を取らずに成果報酬のみで活動するというのは、マテリアルさんだけでした。

菅松:マテリアルにお問い合わせいただいた当初から、黒岩さんのお人柄も相まって、応援したくなる企業さんだなと感じていました。特に、SDGs関連のテーマはメディアの関心も高く、素敵な企業さまからお問い合わせいただいて嬉しかったです。

 

話題性を担保しつつ、訴求したいメッセージからかけ離れないように

ー「HIGHLACT™ 」の発表会での構成の背景とポイントは何でしょうか?

菅松:やはり、「生分解性プラスチック」や「PLA(ポリ乳酸)」は専門性が非常に高く、一般の生活者にとって聞き慣れない話題です。いかに分かりやすく生活者へ届けていくのかという点で、お打ち合わせを重ねてきました。そうした中で、タレントを起用して「HIGHLACT™ 」のメッセージを届けていこうとなり、話題性を担保しつつも、訴求したい部分と離れすぎないよう、自分の言葉で環境問題を説明できるような社会関心の高いタレントさんを起用しました。 

 

黒岩:試作した洋服をお披露目する機会でもあるので、モデルの方に着てもらいたいというところまではあったのですが、最初にマテリアルさんから「モデル×タレントさんで」とご提案いただいた際には、社内でも「いいね!」となりました。確かに、モデルとタレントの2軸ではインパクトもあるし、若年層向けのウェブメディアにもご注目いただけます。そこまで届けることができるのなら、やる意味があるだろうと前向きに取り組むことができましたね。

 

菅松:「HIGHLACT™ 」は、本当に誠実なブランド作りをされているので、そこをストレートに訴求していくだけでも非常に価値のある発表会になったと思っています。また、100と言われるのに対して、特徴のひとつでもある、一定の条件下であれば、土に埋めて約30日で分解されていくというファクトは生活者から見てもインパクトがあります。どのようながメディアの引きになるのかなど、チームでディスカッションしながら探していきました。

 

HIGHLACT™(ポリ乳酸)100%Tシャツが分解する様子:左から分解前・3日目・6日目

堆肥温度:68℃(3日後の引き上げ時の温度)、水分量50%前後

 

黒岩:私たちで発表会の構成まで考えるとなると、どうしても社内視点になってしまいます。「生分解性プラスチックとは」と、細かな点まで詳しく説明したくなってしまうんです。第3者の視点を入れながらtoC向けに発信したかったので、発表会の組み立てはすべてお願いさせてもらいました。

 

信頼性のあるメディアが紹介することで、ビジネスでも大きな価値に繋がる

ー発表会の構成で実際にこだわったことはありますか?

菅松:発表会では、実際にプラスチックが分解されている状態をタレントに触れていただく場を作ることで、視覚的にも訴求できるように意識しました。また、タレントを起用する際によくあることなのですが、商品や素材の特徴を伝えたいのに、タレント性ばかりに注目されてしまい、訴求ポイントとは関係のないコメントがメディアに拾われてしまうこともあります。

 HIGHLACT™ 」の魅力を最大限に伝えていただくために、タレントさんには事前に、事業を率いているサステナベーション本部・高副本部長より、正確な知識をインプットいただく時間を設けました。そうすることで、タレントの方々がご自身の言葉で「生分解性プラスチック」や「HIGHLACT™ 」についてコメントしてくださりました。その時のコメントがそのままメディアのタイトルにもなっています。それぞれのメディアごとに露出の切り口が増えたので、こだわって良かったと思っています。

 

ーその後、社内外を通して反響などはありましたか?

黒岩:今回の発表会を通して、本気で「生分解性プラスチック」に取り組んでいる会社として生活者に認知してもらえたと思っています。また、アパレル企業から見ても、「ハイケムと組むことでPRの効果も見込める」という付加価値がついたのではないかと思います。素材としてのブランド力に繋がっていけたらいいなと。他にも、テレビでも紹介していただけたことは大きかったですね。営業担当者からも、「テレビで紹介されました」と商談時に話題にできることは、商談時のメリットとしても大きいと聞いています。やはり、信頼性のあるメディアが紹介してくれたことで、今後のビジネスでも大きな価値があると思っています。

 

3.良い素材やモノを、まずは知ってもらうことから

普通のプラスチックを「生分解性プラスチック」へ置き換えていく

ー今後御社として、目指していることや挑戦したい取り組みについて何かあれば教えてください。

黒岩:ハイケムとしては普通のプラスチックを「生分解性プラスチック」へ置き換えていくミライを実現したいと考えています。この大きな夢に向けて、私自身も広報として伴走していきたいなと思っています。

 

ーなかなかPR活動に踏み込めないBtoB企業や、SDGs/ESGの取り組みを模索されている企業も多い現状ですが、そうした企業に向けて何かメッセージをいただけますか?

黒岩:日本は、良い素材をたくさん持っています。ハイケムとしての視点にはなりますが、良い素材や良いモノを知られていないことが多い。日本国内でも知られていないから、世界でも認知されない。そうした現状は、PR活動を通してメディアに出ていくことで最初の認知に繋がります。現代は、日本だけでなく世界中がより良い素材やモノを求めています。まずは、「知ってもらう」ことが大事ではないでしょうか。日本のBtoB企業は、真摯に誠実に取り組まれている企業ばかりです。プロダクト視点だけではなく、PR視点を持つことで少しでも多くの課題解決に繋がるはずです。

 

※2022年1月時点の情報です。

マテリアルグループ広報 時田友里香
マテリアルグループ広報 時田友里香
マテリアル2018年入社の広報担当。好きな食べ物は羊羹。広報業務のほかMATERIAL MAGAZINEの執筆を担当しています。世の中のひとがもっともっとマテリアルグループを知って、好きになってもらえるよう日々勉強中。
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