MATERIAL MAGAZINE

2022.March | MAKE NEW

多様性が高まる中で、企業やブランドが生活者に向けてできるマーケティングとは?|トライブマーケティング×ディグラム診断の可能性

マテリアルマガジンをご覧の皆様、こんにちは。マテリアルグループ広報担当の時田です。

今回のマテリアルマガジンでは、ディグラム・ラボ 代表取締役社長の木原誠太郎さんをお招きして、マテリアル ゼネラルマネージャーの竹中との対談を実施。これまでの両社の親交はもちろん、ディグラム診断とトライブマーケティングをかけ合わせたスキルセットから見る今後の構想について語っていただきました。

日々、多様性が高まる中、マーケティング施策の狙い所も多様となる昨今。企業やブランドが生活者に向けてできることとは?PRの枠を超えた対談となっております。

1.ディグラム・ラボとマテリアルの親交は12年以上

心理学を統計的に事業化するためにブランドを創設

ーディグラム・ラボの簡単な概要と木原さんのご経歴について教えてください。
 
木原:ディグラム・ラボが運営するディグラム診断心理学と統計学を合わせた画期的な性格診断です。もともとわたしは統計の専門家として、主に広告代理店の調査関連・マーケティングを担当していましたが、クリエイティブ会社を起業した後、紆余曲折ありながらもミクシィに入社しました
 
当時は、営業マネージャーとして働く中で、“を売るだけではなく、なにか“新しいものを作らなければならなかったんです。そこで、SNSを活用した最も面白いコンテンツは何かと考え、思いついたのが「性格診断」でした当時は多くの人がミクシィ内でも日記を書いていて、自分のことを見て欲しいとか、自分は今こんなことを考えてる、私はこう思っているという、”自分がどんな人間なのか”を知ってほしいという欲求があることを感じていました。また、ミクシィで作成していたコンテンツは、統計の専門家として見ると、良くも悪くもファジーに作っている感覚があってなおさら、日本人の性格が一体どんな性格なのか疑問に思い始めたところでもあったんです
 
自分マーケティング専門家でもあるので、こうした性格診断をのように事業していくのか考え、「最少人数で最大の利益を出す」というコンセプトを打ち立てました。ディグラム診断は、こうしたきっかけで心理テストを統計的に見える化事業化するためにブランドとして立ち上げました。ディグラムラボでは、今でもこのコンセプトに基づいて日々進化しています。こうした経緯がちょうど2010年くらいなので、性格診断に携わってから、あっという間に12年が経ちましたね。
 
ーマテリアルとの関係はいつ頃から始まりましたか?
 
ディグラム・ラボのマーケティングの一環として、「自分がタレントになろう」と決めからテレビタレントとして活動していたお会いしたのがマテリアルさんです。初めて会ったのは起業したてなので、ディグラム・ラボの設立年月日とほぼ同時ですね(笑)ディグラム・ラボは、コンセプトである「最少人数で最大の利益を出す」ために、PRが必要不可欠なんです。マテリアルが目指しているPRの概念についてはよく知っていますが、思考が非常に似ていると思います。物語で世の中に語ることや、コンテンツを立体的に捉えこと、単なるテレビ露出で終わりではなく、ブランドの成長に貢献させることなど、この辺りが両社ともリンクしていて、それぞれが異なる山の登り方をしていても、同じ山を登っている感覚があります。

2.PRもデータ統計学も、与えられた素材の中で瞬間芸を発揮する

PRもデータもナマモノだからこそ、調理してその場で出すことに意味がある

ーそれぞれの視点から、両社が組んだらどう面白くなると思いますか?
 
竹中:ディグラム・ラボとして木原さんは、全てを可視化することができます。よくある調査PR、調査から定量的に分かりやすいパーセンテージや数字ファクトを出して、それをニュースとして露出させるというやり方です。しかし、そこにディグラム・ラボを挟むことで、そのファクトのさらに奥にあるこの属性の人たちに多いのがこのような性格」「こう考える人は、実は裏でこういうこと考えている」さらに、「こういう性格の人が好きなものは〇〇という傾向が高いなどの性格からその人たちが行動に移し出すシナリオをしっかり把握することができます。そこが、ディグラムラボと組む強みだと思います。
 
木原:ディグラムラボが行っていることは、その人が気付いていない“人となり”を統計データで見せることだと思っています。例えば、良いドラマ言われる作品は、演技に出てこない登場人物の裏設定があったりします。そうした裏側までを統計データで見せているのがディグラム・ラボです。だから、マテリアルが行っているような、PR立体的にするための下支え黒子にもなれる。例えば、冷たいがいるけど実は昔こういう経験があったから冷たい人になっている」とか、「温かくて優しいだけど、こういう経験があったから優しくなった」というような理由付けができます。ファクトフルネスという言葉があるように、ファクトをベースにしてその人のアクト(行動)を探す。アクティベーションの糸口を探ることがディグラム・ラボの得意技です。だからこそ、マテリアルと組むことで、それを外にどう見せるどう発展的な未来に繋いでいくのかという物語の設計図を書くことができるんだと思います。先ほどお話した思考が似ているというのはこういうことですね。
 
竹中:そう言えば、木原さんが一時期『ディグラム合コン』という合コンをしていました(笑)これは調査の一環で、それぞれ女性陣男性陣の波形をみて、こ波形の女性はこの波形の男性と上手くいく可能性が高いという分析から、多くのカップルが成立していましたよね(笑)
 
木原:一時期、めちゃくちゃ依頼を受けたのが結婚式の催し物ばかりでした(笑)実はれは、仕事に共通しているんです。結果的に自社の商品やブランド今後どうなっていくのか、この先どうすればいいのかと悩んでいる人も多くいらっしゃいますが、データで見るとこうした方が良いですとか、定量的かつ定性的にブランドの持つ性格判断できます。例えば、台形型1という結果の性格が出ていたとしても、環境や状況次第で結果は変わっていくんです。その環境で人が変わるということを匂いで感じられるかどうかが非常に重要です。PRやデータは“ナマモノだからこそ、すぐに調理してその場で出さないと意味がない。そこの感覚や嗅覚が同じマテリアルとは料理を作る時の速度が一緒なんです。与えられた素材の中で何ができるのかという瞬間芸は、同じベクトルを向いています。
 
 

世の中の情勢に合わせて変化しなければ淘汰される

竹中:木原さんは、愛や仕事など、様々な場面で心理学と統計学を組み合わせた最適な場の提供をされてきましたが、得意とするカテゴリの中で、何が最もマッチしましたか
 
木原:場の空気を読むコミュニケーション全般ですね例えば、直近の話でいうと、DX化の風に乗ったセールスが得意です。これまでは性格を見えるするプロモーションブランディングとしての性格診断が多かったのですが、コロナが要因にもなり、DX化を目指すセールスコミュニケーションの傾向が強まりましたこれまで、テレビタレント性格診断のプロときて、今はシステム屋になっています。DXの波に乗ったコミュニケーションシステムの開発屋として、この2年間程で事業レイヤーが変化してきました。その場の“空気を読むコミュニケ―ション”は、BtoBでもBtoCでも変わらないと思っています。
 
そうした意味では、マテリアルの歴史も面白いと思っています。露出獲得に強いPRエージェンシーから発展して今はストーリーテリングを基軸としたブランディングが得意なように、他社との協業や資本提携など様々な方向に挑戦していますディグラム・ラボ統計リサーチの専門家ではありつつも留まっていては必ず淘汰されるので、常に新しいことに挑戦したいという思いがあります。この10年の間にも、震災があって、アベノミクスがあって、コロナがあって、というように世の中の情勢環境が激変しているわけです。となると、会社としてのコアは変わらないけど、やってることは変わらなければいけないそれは今後も変わると思うし、こうした姿勢は持ち続けたいと思っています。マテリアルはマテリアルで非常に良い舵の切り方していると思いますいつもセンスいいな思いながら見ています。
 
 

それぞれに人に合う脚本を明示しなければ、誰にも刺さらないマーケティング施策になる

ーディグラム診断とマテリアルが提唱するトライブマーケティングを掛け合わせることで、企業やブランドにとってどのようなメリットがあると思われますか? 
 
木原:これからの時代は、当たらない広告やマーケティング施策が増えていくと思っています。平成中後期までは、全体の20%程度の割合で存在している、“物事に意欲的に取り組む層”をターゲットとしたコミュニケーションを、残りの80%である“受動的で積極性がない層”の生活者に出しても通用していましたが、これまで通りの正攻法は全く通用しなくなります。誰に対して誰がハッピーになるのかという文脈作りが肝になると思います。そうしないと、結果的に人を不幸にするかもしれないですし、誰に向けての施策なのかよりを明確化しなければ生活者刺さらないと思います
 
竹中:なるほど。マテリアルが提唱しているトライブマーケティングも、現在のような「1億総自由社会」や「1億総メディア時代」の中では、デモグラペルソナだけではターゲティングできないことを前提に思考されています。世の中のポテンシャルや潜在層をより明確に把握して、その人たち確実に巻き込むための施策マーケティングプランを行いながら、ブランドやサービスの成長にまで紐づけていきたいと思っています。コンバージョン率を高めるという意味でもどのような価値観を持つ人がどのような事柄に興味関心を示すのかが全て分かっているディグラム・ラボは私たちの活動に非常に寄与すると思っています。
 
木原:重要なのは、こうしたプロファイリングをきちんと凌駕する意思、つまり、クリエイティブと言う名の意思だと思っています。それこそマテリアルが提唱している「トライブマーケティングは何かしらの意思を持たせていますが、ものすごく圧倒的な専門性を持って当てていきながら、馬鹿なフリをするということが大事だと思いますね。
 
次の境地では、あなたこうですよねと言い当てるだけでだけではなく、手を引いてあなたこうなるべきですまでを具体的に明示する必要があります。要するに、その人に合う脚本を明確に書いて伝えてあげるんです。ただこれは、これはデータだけでは出せない部分であり、マクロ視点や環境など様々な地点から見た結果作るものなので、平準化はできない。だからこそ、トライブマーケティングにも通底しますが、重要なクロージングの言葉をワンコピーで作った上で、どの層が見ても感動するクリエイティブを見せていかなければいけないんです

3.山の登り方は違っても、通底する両社に期待することとは

PR会社の枠を超えた課題解決会社として

ーさいごに、双方に期待することを教えていただけますか? 
 
木原:今後のディグラム・ラボは、発信力を強めていきたいと思っているので、マテリアルにはそこを期待しています。
 
竹中:そうですね。マテリアルが持つチャネルもテレビだけではなく、YouTubeやSNSなどコンテンツの領域もかなり広がったと思っています。マテリアル単体でもそうですし、フリップデスクやルームズのようなグループ企業の提供ソリューションにおいてもディグラム・ラボのサイコグラフィックと組み合わせていけそうですよね
 
木原:非常に面白そうですね。マテリアルもかなり大きくなりましたし、もはやPR会社ではなく課題解決会社だと個人的には思っています。山の登り方は違えど、ディグラム・ラボと似ていますし、非常にいい会社だなと思います!

※2022年3月時点の情報です。

マテリアルグループ広報 時田友里香

マテリアルグループ広報 時田友里香

マテリアル2018年入社の広報担当。好きな食べ物は羊羹。広報業務のほかMATERIAL MAGAZINEの執筆を担当しています。世の中のひとがもっともっとマテリアルグループを知って、好きになってもらえるよう日々勉強中。